【体験談】スーツが自己成長を後押しした話|一流のスーツがくれた自信と決断力
スーツの持つ魔法に気づく

スーツはどれも同じだと思っていませんか?
私もかつてはそう思っていました。むしろ、スーツを着て会社に行き、制服に着替えてから仕事をするのは、とても面倒なことだと感じていたほどです。
けれども、エンジニアとしてもう一段成長したいと願っていた私にとって、スーツは意外にも心強い味方になってくれました。それ以来、私はスーツの持つ「魔法」に魅了され、今ではスーツが大好きになりました。今回は、そんな私の実体験を通して、スーツの持つ力についてお話ししたいと思います。
エンジニアとしての葛藤と変化のきっかけ
私は新卒で鉄道会社に入社し、鉄道車両のエンジニアとしてキャリアをスタートさせました。入社3年目のある頃、日々の車両試験走行の中で、「このままでいいのだろうか」と自問自答するようになりました。上からの指示に従って作業をするだけの日々に、物足りなさを感じるようになったのです。
「もっと工夫して新たな試験ができないか」「もっと自分にできることはないか」と、常に頭の中では考えていました。しかし、いざ行動しようとすると、つい意見を引っ込めてしまう自分がいて、そんな自分にジレンマを感じていました。理想の会社に入ったはずなのに、現実とのギャップが徐々に見えてきて、悶々とした日々を送っていたのです。
そんなとき、ふと「形から変えてみよう」という考えが浮かびました。思っているだけで動けないなら、まずは身につけるものを変えてみよう、と。一流のものを身に着けることで、自分も一流の人間に近づけるのではないか。そして、その“力”を借りて、自分のステージをひとつ上げてみようと考えたのです。
スーツとの出会い
日々身に着けるものといえば、真っ先に思い浮かんだのは会社の制服でした。しかし、制服は会社で規格が決まっており、自分の意思では変えられません。そこで、社宅から会社までの移動時に着るスーツに目を向けました。
当時私が着ていたスーツといえば、就職活動時のスーツをそのまま使っていたものでした。「どうせ通勤にしか使わないし、このままでいいや」と思っていたのです。
しかし今回は違いました。「せっかくなら一流のスーツを買おう」と思い立ちました。勤務地は山の中で、近くにはスーツ専門店も量販店もありません。そこで、学生時代から憧れていた阪急メンズ館でスーツを購入しようと決めました。勤務地から比較的近い有楽町の阪急メンズ館に向かうことにしたのです。
ちなみに当時の私はスーツの知識が全くありませんでした。就活用スーツも、店員さんに言われるまま黒の3ボタンでストライプ入りのものを選んだ記憶があります(今思えば「よくこれで就活したな」と思うようなデザインでした)。
知識がなかった私は、スーツ売り場に行かず、当時カジュアル服で愛用していた「コムサ」のお店に直行し、「スーツありますか?」と尋ねました。
そこで出会ったスーツが、私の人生を変える一着となったのです。
人生を変えた一着
出てきたスーツは、スーツの知識がゼロの私にも一目でわかるほどの上質なものでした。艶のある柔らかな質感の生地、そしてこれまで選んだことのなかったチャコールグレーのカラー。
「これを着れば、自分が変われる」と直感で思えるほどのインスピレーションが全身を駆け巡りました。
着る前から「これを着て出勤したい」「これを着たら新たなステージに立てる」と確信を持てたのです。
その時はブランド名も生地の知識も関係なく、ただただ「このスーツを着たい」という気持ちだけで購入を決めました。後でクレジットカードの明細を見て、このスーツが約20万円だったと知り、驚いたものの、不思議と後悔はありませんでした。
スーツが与えてくれた2つの視点
このスーツを着用するようになってから、私は2つの新しい視点を得ることができました。
1つ目は、「このスーツに見合う人間でありたい」と、自分を自然と律するようになったことです。
立ち振る舞いや考え方が少しずつ変わり、自信が芽生えてきました。仕事に対する心構えにも変化が表れ、自分でも驚くほどポジティブな効果が現れたのです。
2つ目は、他人のスーツ姿が気になるようになったことです。
同僚や上司、先輩たちはどんなスーツを着ているのか?どんな心構えで仕事に臨んでいるのか?そういった視点で人を観察するようになりました。
その結果、「スーツ姿がかっこいい人は、仕事もできる人が多い」という面白い傾向に気づきました。とくに、スーツとネクタイのバランスが絶妙だった現場トップの課長は、まさに“デキる人”の象徴でした。
一方で、私のスーツについて「そんな高いスーツを買うなんてバカだな」と言ってきた先輩もいました。しかし、その人が社内でどう評価されていたかを考えると、答えは明白でした。
この経験を通じて、「身に着けるものに気を配れる人は、働き方や心構えにも意識が行き届いている」と実感しました。まさに、スーツが持つ“魔法”を体験した瞬間でした。
新しい自分へ背中を押してくれたスーツ
一流のスーツを着て、2つの視点を得た私は、「一流の人間なら、堂々と意見を言おう」「自信を持って提案しよう」と行動に移すようになりました。
ところが、実際に提案を重ねても、会社はなかなか受け入れてくれませんでした。先輩からは「この会社では何もしない人のほうが出世する」と言われ、強い違和感を覚えました。
「このままここに留まり、志を果たせず悶々とするか」
「新しい環境で、志を貫く挑戦をするか」
その選択を迫られたとき、スーツが私の背中を再び押してくれました。そして、最終的に会社を退職し、東京で新たなキャリアを模索する道を選ぶことができたのです。
スーツは“自分を引き上げる舞台装置”
このように、スーツは自信を与えてくれるだけでなく、自分の進むべき道までも示してくれる存在です。
だからこそ、今の「スーツ不要」の風潮のなかでも、私はあえてスーツを着続けています。
それは、スーツ姿が好きだからというだけでなく、スーツが私にとって“自分を表現する舞台装置”であると信じているからです。
皆さんがスーツを着る理由は何でしょうか?
きっと、その一着には素敵な想いやストーリーがあるはずです。ぜひ、お聞かせください。