体格の良い学生のスーツはなぜ決まらないのか——既製の限界と、採寸が読み解く理由
入学式でスーツを購入し、その後「どうにも合わない」「なんだかカッコよく決まらない」と感じてD'フレイムに来店される方がいます。
着てみて初めて違和感を覚えるものの、多くの場合、ご本人は「どこがどう合っていないのか」までは言葉にできません。
この記事では、なぜ既製スーツが体格の良い学生に合いにくいのか、そしてD'フレイムの採寸がその「合わなかった理由」をどう読み解くのかをお伝えします。
なぜ既製スーツは合わないのか
入学式のスーツが「合わない」「なんだか決まらない」。その根本にあるのは、既製スーツの"合わせ方"そのものの限界です。
市販スーツは「平均の体型比率」で設計されています。号数(S・M・LやA体・AB体)ごとに肩幅・胸囲・ウエスト・ヒップの比率があらかじめ決まっており、これは日本人の体型を統計的に分類した平均値です。お店でできるのは、その号数の中から近いものを選び、多少のお直しを加えること——つまり既製スーツは、一人ひとりの体に「合わせる」のではなく、「近い型に寄せる」ことしかできません。
鍛えた体は、この平均から外れやすいものです。肩・二の腕・太ももが発達した体型ほど号数の枠に収まりにくく、"近い型に寄せる"だけでは合わせきれません。これが、体格の良い学生のスーツが「決まらない」本当の理由です。
ただ、着ているご本人は「なんとなく決まらない」としか感じません。どこがどう合っていないのか、までは言葉にできないのが普通です。
採寸は「合わなかった理由」を読み解く作業
では、自分の体のどこが平均から外れているのか。それを把握するのが採寸です。
D'フレイムの採寸は、号数では測れない一人ひとりの体の比率を「設計図」として読み解く作業です。肩幅と胸囲が発達している一方でウエストは絞れている、という体型の場合、号数では「肩に合わせるとウエストが余る」「ウエストに合わせると肩が入らない」という矛盾が生じます。採寸は、この矛盾を解消するために、体の比率を一つひとつ把握していきます。
D'フレイムでは主に以下の部位を計測します。
肩幅:採寸の起点。スーツ全体のシルエットは肩が正しく収まることで決まります。肩の合わせ方から皺の付き方を確認し、補正の方向を判断します。
胸囲・アームホール:胸板の厚さと腕の付け根のゆとりを確認します。肩と二の腕が特に発達した体格の方は、アームホールを十分に確保しないと腕が通らないことがあります。これは上半身を使う競技の経験者に顕著に表れる特徴です。
ウエスト・胴回り:上半身と胴の「差」を把握します。この差が大きいほど、市販スーツとの乖離が大きくなります。
ヒップ・太もも:下半身の発達を確認します。スラックスはウエストがぴったり合っても、太ももだけが窮屈になるケースがあります。「ウエストは問題ないのに太ももだけがぴちぴちで困っていた」という方が、採寸を通じて太ももの発達が原因だったと初めて把握できるケースもあります。
袖丈・股下:仕上がりの細部に影響します。左右で袖丈が違う方もいらっしゃいます。採寸して初めて「自分の左右の袖丈が違うことを知った」とおっしゃる方は少なくありません。
各部位の数値が出てはじめて、「どこをどう調整するか」という設計が可能になります。採寸は単なる寸法取りではなく、体の比率を把握する診断です。
なぜ「1時間」かけるのか
「早ければ30分で終わる」という採寸もありますが、D'フレイムの採寸はそれより時間をかけます。
理由は、数値を取るだけでなく、体の動かし方や着用シーンも確認するからです。立ち姿と座り姿ではシルエットの見え方が変わります。腕を上げたときの袖の動きも確認します。「どんな場面で着るか」「スーツを着ることへの慣れ・こだわり」も聞きながら進めます。
D'フレイムはイージーオーダー(型紙の修正できる箇所をすべて修正する方式)で仕立てます。修正の方向性を正しく決めるためには、数値だけでなく、着用者の体の使い方と目的を理解する必要があります。
アスリートの方を中心に、2026年時点で累計2,000名以上の採寸実績があります。競技ごとに体型の傾向が異なることも把握していますので、初めての方でも「自分の体型はここが問題だったのか」と気づいていただけることが多いです。
オーダーでできること
採寸で把握した体の比率に合わせて、各部位の設計を調整します。体格の良い学生に対しては、アームホール・スラックスの太もも周りなど、体型の特徴に合わせて仕立てます。
そのうえで、ここからはD'フレイムの見解です。体格のいい方には、着心地だけでなく見栄えの面でもこだわっていただきたいと考えています。
たとえば着丈とセンターベント(背中の1つ割れ)です。既製スーツは着丈が短めに作られ、多くがセンターベントを採用していますが、私たちは、体格のいい方にこの仕様はカッコよく見えないと考えています。着丈が短いと上半身が大きく見えますし、センターベントは体格のいい方が着るとヒップまわりで左右に割れて開いてしまいます。ただ、こうしたことは指摘されないと、ご本人ではなかなか気づかないものです。
そこでD'フレイムでは、体に合った着丈に整え、センターベントではなく、体格のある方に適したサイドベンツ(背中の2つ割れ)での仕立てを薦めています。サイドベンツは座ったときのシルエットが美しく、動きやすさも向上します。
在学期間中のお直しはすべて無料。キングサイズの追加料金もいただいていません。就活・卒業式・入社式まで1着で使い続けられます。
「合わなかった原因」が腑に落ちる瞬間
ここまで採寸とオーダーの話をしてきましたが、一つお伝えしておきたいことがあります。
採寸の時点では、既製スーツが合わなかった具体的な原因まで、ご本人がはっきり実感できるわけではありません。
原因が本当に腑に落ちるのは、実際にオーダーしたスーツに袖を通したときです。
自分の体の比率に合わせて作られたスーツを着てみると、「これまでのスーツはここが合っていなかったんだ」という気づきが自然と生まれます。着た瞬間の感覚と、これまでの違和感が一致する——そういう体験をされる方が多いです。
まずは相談から
「自分の体型でオーダーができるのか」「費用がいくらかかるのか」は、来店前にお問い合わせいただくことも可能です。体型や予算についての疑問に、まずお答えします。
ご予約・お問い合わせ
LINEまたはお電話にてどうぞ。
D'フレイム
TEL:03-6272-4805
JR水道橋駅 東口 徒歩3分 / 東京メトロ神保町駅 徒歩7分
Instagram:@dframe2002
近藤から一言
D'フレイムには、入学式でスーツを購入し、そのスーツへの不満がきっかけで来店される学生がいます。ご本人は「スーツが合っていない」「なんだかカッコよく決まらない」と感じていますが、その理由がどこにあるのかまでは、なかなか気づけません。根本にあるのは、既製スーツが平均の体型でつくられていて、体格のいい方の体には合わせきれないことだと考えています。
そのうえで、これは私たちの見解ですが、体格のいい方には、着丈の短さやセンターベント(背中の1つ割れ)はカッコよく見えません。センターベントは体格がいいとヒップまわりで割れて開いてしまいます。ただ、これは指摘されないとご本人では気づかないものですから、私たちからお伝えして、サイドベンツなどをご提案しています。
採寸では、肩の合わせ方と皺の付き方を見ながら、補正の方向を決めていきます。体操部の方は、身長がそこまで大きくない方でも、肩と二の腕が発達していることがあります。そうした場合はアームホール(腕の付け根)にゆとりを持たせる調整が必要で、既製スーツでは「Mサイズでも肩まわりがきつい」と感じる方が少なくありません。下半身は、ウエストはぴったりなのに太ももだけがぴちぴち、というケースもあります。「左右の袖丈が違うことを採寸で初めて知った」とおっしゃる方もいます。自分の体のことは、自分では意外とわからないものです。
ただ、採寸の段階でその原因まで言語化できるかというと、そうではありません。実際にオーダーしたスーツに袖を通してみたときに、「これまでのスーツはここが問題だったんだ」と初めて腑に落ちる——そういう体験をされる方が多いです。

